大仙公園 日本庭園大仙公園 日本庭園

Sakai, Osaka / /

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2025.08/01

第15回 大仙公園日本庭園 写真コンテスト 結果発表

審査員より全体講評:大阪芸術大学短期大学部客員教授 福原 成雄氏

2025年度の大仙公園日本庭園写真コンテストに、今年も多くの力作をご応募いただき、誠にありがとうございました。

今回のコンテストでは、
応募部門Aを「日本庭園の四季折々の風景」
応募部門Bを「日本庭園の魅力を表現したもの:テーマ‥‥景色(植物・水・石・建物)」
として作品を募集しました。

応募総数は81作品(応募部門A:44作品、応募部門B:37作品)で、昨年よりは減少したものの、日本庭園への深い愛情と、独自の視点から切り取られた魅力的な写真が集まりました。

応募された作品からは、新緑の輝きや紅葉の鮮やかさ、そして美しい花々を通じて、日本庭園の豊かな季節の移ろいが感じられました。特に目を引いたのは、被写体だけでなく、その周囲の環境との関係性までをも巧みに表現した作品です。撮影者の視点や感性が光り、庭園の奥行きや広がりが感じられるものが多く見受けられました。
また、鳥や昆虫などの生き物をモチーフにした作品も印象的でした。生命力あふれる瞬間や、色彩豊かな表現は、見る者の心を惹きつけました。撮影者がその瞬間に立ち会い、見事にシャッターチャンスを捉えた「出会い」を感じさせる作品には、審査員一同、感銘を受けました。

審査は、私、福原成雄をはじめ、奥見俊晴、野々垣政治、本位田有恒、永田勇紀の計5名が担当しました。

厳正なる審査の結果、以下の作品が各賞を受賞されました。

•         金賞:全応募作品の中から1作品

•         銀賞:全応募作品の中から1作品

•         ゲスト審査員賞:全応募作品の中から1作品

•         園長賞:各部門から1作品

•         大仙公園日本庭園賞:各部門から1作品

•         堺市都市緑化センター賞:各部門から1作品

合計で9作品が選ばれました。また、今後の活躍を期待して奨励賞7点を選びました。

金賞と銀賞の選考は特に時間をかけ、5名の審査員が全作品の中からそれぞれ1作品を候補として挙げました。
金賞については、多数決によって最終的な1作品を決定しました。
銀賞については、金賞候補の作品と銀賞候補の作品の中から選考を進め、金賞が応募部門Aの作品であったため、バランスを考慮し、応募部門Bの作品から多数決で1作品を選出しました。

上位入賞作品 作品講評

☆金賞:作品名「秋の佳き日」岩室 典雄さん
この作品は、大胆かつ計算し尽くされた構図が際立っていました。画面左下には、前撮り撮影を楽しむ幸せそうなカップルが配され、白無垢の花嫁と黒の婚礼衣装が、やわらかくぼかされた背景の中に浮かび上がっています。その背景を彩るのは、画面右上から左へと鮮やかに広がる紅葉。伸びやかな枝葉が構図の大きな流れを作り出し、対照的に画面右下から左へと続く緑のツツジが、全体のバランスを絶妙に引き締めています。
特に評価が高かったのは、構図の妙、鮮やかな色彩のコントラスト、そして完璧なトリミングのバランスです。手前の紅葉にピントを合わせ、背景を美しくぼかすことで、主題であるカップルを際立たせるだけでなく、作品全体に奥行きと情感を与えています。まさに「秋の佳き日」の情景を見事に切り取った一枚です。

☆銀賞:作品名「滝を楽しむ時」赤石 博さん
大仙公園日本庭園の中心にある、中国の故事に由来する「虎渓(こけい)」をテーマにしたこの作品は、夜間拝観というユニークな視点から撮影された、これまでになかった一枚として高く評価されました。ライトアップされた「飛龍瀑」を背景に、石橋を渡る楽しげな親和する三人連れがシルエットで捉えられています。そして、その姿が水面に神秘的に映し出され、まるで水鏡の世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気を醸し出しています。この情景は、慧遠法師、陶淵明、陸修静の三人が語り合い、虎渓を渡ることを忘れて笑い合ったという「虎渓三笑(こけいさんしょう)」の故事を彷彿とさせ、庭園が持つ歴史や物語性を見事に表現しています。夜の日本庭園の新たな魅力を発見させてくれる、非常に印象深い作品でした。

☆ゲスト審査員長賞:作品名「冬日」河村 雄さん
冬の夕暮れ時、水面に映る小川のせせらぎが聞こえそうな描写と、ゴーストを上手く活かした作品に仕上がっています。

☆園長賞(部門A):作品名「春爛漫」河村 雄さん
モモとサクラが咲き誇る花園と流杯亭。まさに桃源郷をよく捉えています。 色彩からも春の日本庭園を象徴し、優しさを感じさせる作品です。

☆園長賞(部門B):作品名「龍の口」中川 一さん
朱の背景と差し込む光が、龍の躍動感をより一層引き立て て、まるで生きているような瞬間に出会えました。その瞬間に感じた“静寂の中の力強さ”を表現しています。

☆大仙公園日本庭園賞(部門A):作品名「初夏の彩り」寺垣 雅彦さん
季節の風物詩ハナショウブ。数種類植えられた中でもより涼しげな青色が際立つ品種は、多くの方に楽しんでいただいています。
八ツ橋を入れることで、水辺の植物であることが表されて おり、いい構図となりました。

☆大仙公園日本庭園賞(部門B):作品名「回廊」 辻 長雄さん
この作品は休憩舎の回廊をテーマにされており、池や島だけでなく、遠くに見える平橋、反橋なども望む構図で、モミジの紅葉が映える作品でした。

☆堺市都市緑化センター賞(部門A):作品名「雪柳咲く頃」北埜 佳代子さん
廬山が飲み込まれるほどの勢いで咲くユキヤナギが美しく、力強い春の訪れを一層感じさせてくれる一枚でした。

☆堺市都市緑化センター賞(部門B):作品名:「自然の力」 大矢 吉乃さん
王道な構図ながら全体のバランスが取れており、新録の美しさがよく表現されています。傘亭、印月橋、休憩舎を抑えながら水や石、空といった日本庭園の魅力が詰まった作品でした。

奨励賞作品 (7作品)

•        (部門A)「甘泉殿の春」河瀨 宗之さん
•        (部門A)「花菖蒲の向こうに」増永 良二さん
•        (部門A)「緑陰の奏(かなで)」尾崎 靖さん
•        (部門B)「鯉の季節」平野 史孝さん
•        (部門B)「ガクアジサイ」Bonnie 村田さん
•        (部門B)「初夏を彩る」辻 生子さん
•     (部門B)「ライトアップ」北埜 義治さん

第15回を数える当園の写真コンテストにたくさんのご応募をいただきありがとうございました。

来年度も、皆様の素晴らしい作品との出会いを楽しみにしております。

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